箱根 彫刻の森美術館

青空と緑と彫刻と

箱根彫刻の森美術館は、1969年に国道1号線から強羅温泉に向かう箱根の山中に開館した。約7万㎡の芝地に120点余の彫刻が点在する開放的な美術館であり、自然の中を散策しながら、ゆっくりと野外彫刻を楽しむことができる。

自然の中で芸術に触れるのは、開放的でとても楽しい。見た瞬間に、ピンと感じるものや、じっくりと眺めているうちに初めて感じ入るもの、思わず同じポーズをとりたくなってしまう面白い作品もある。細かい注釈など気にせずに、インスピレーションにしたがって楽しむのもいいし、音声ガイドを借りて、作品の背景をより深く味わうこともできるだろう。音声ガイドは、入口を入ってすぐ右手にある本館ギャラリーで、一つ500円で借りられる。車いすやベビーカーの無料貸し出しもある。

歩き方

では、彫刻の森を歩いてみよう。順路に従って歩いていくと、ループになった散策路を一巡することになる。子供たちが作品に触れて遊べるキッズエリアは3カ所あって、いずれも入口に近い。その一つ、『しゃぼん玉のお城』はアメリカのピーター・ピアースの作品で、ダイアモンドの結晶構造を拡大した透明のジャングルジムだ。利用できるのは小学生まで。透明でやわらかいプラスチック製のドームの中を、登ったり、弾んだりできる。

点在する彫刻群を見ながら進んでいくと、敷地の一番奥には、ピカソ館、緑陰ギャラリー、カフェ、ショップ、足湯などがある。

ピカソ館には、パブロ・ピカソ晩年の陶芸作品を中心に、絵画、版画、素描、オブジェなど、多彩な作品が展示されている。ピカソは、65才の時に南フランスのヴァロリスで陶芸を始め、44才年下のジャクリーヌ・ロックの献身的な愛に支えられながら、自由で遊び心のある作品を数多く制作した。ジャクリーヌはピカソの身の回りの世話や、通訳、秘書の役割を引き受け、ピカソが創作に打ち込めるよう尽くしたという。

緑陰ギャラリーでは、メダルド・ロッソとヘンリー・ムーアのコレクションを見ることができる。ロッソは19世紀から20世紀の変わり目に、新星のように現れた彫刻家で、それまでの保守的な彫刻を否定し、対象の内面や主題の瞬間的な印象を表現して新時代を切り拓いた。一方ムーアは、『彫刻は野外の芸術である』と語り、その言葉は彫刻の森美術館の指針となった。ムーアは小石や骨などの自然から形を学びとり、抽象的な彫刻を数多く制作した。

『自然とともにある彫刻に関して言えば、空は私が最も好ましく思うものの一つである。彫刻の背景として、空以上にふさわしいものはない。堅固な形態が、相反する空間と際立った対照を示すからである。』

これは、1978年にムーアが語った言葉である。箱根彫刻の森美術館は、まさにムーアの作品に、最もふさわしい空間であると言える。

緑陰ギャラリーの隣には足湯がある。湯の温度は約42度。入浴には少し熱いのだろうが、足湯にはちょうど良い湯加減である。パラソル付のベンチに横並びに座って、膝までお湯につかる。足指を広げて深呼吸、日頃の疲れが溶けていくようだ。湯船の底には丸い石が敷き詰めてある。ぐぐっと力を入れれば、足裏を程よく刺激できる。緑を満喫しながら、身も心もほぐれていく。入ってしまうとなかなか去りがたい。というわけで、週末は結構混んでいる。タオルは100円で売っている。

出口は新館につながっていて、エスカレーターで1階に上ると、ショップの前に出る。その奥がレストランで、ビュッフェ・スタイルと飲茶の2種類がある。ともに一人2000程度の観光地価格である。

作品ピックアップ

ライナー・クリスターの『大きな手』は、力強くぱっと開いた掌が、空に向かって伸びている像である。ナチスドイツに迫害された作者の、生きることへの切望を表現したものだというが、その手には、のびのびとした明るさが感じられる。

フェルナン・レジェの『歩く花』は、本当に一歩踏み出している巨大な花だ。ピカソ館と一体になって周囲にパワーを放っている。

足湯の前にある塔は、高さ18mの『幸せをよぶシンフォニー彫刻』である。筒状の壁面をステンドグラスが覆い尽くしている。外側からは一見地味に見えるが、中は色とりどりの光が差し込み、まるで万華鏡の中にいるようだ。内側の階段を上っていくと、塔のてっぺんから彫刻の森を見渡すことができる。

ヘンリー・ムーアの『横たわる像』は、やわらかく丸みのある曲線が美しい。

アントニー・ゴームリーの『密着』は、倒れている人に見えるが・・・実は、作者の体で型を取って造られた鉄の塊が、大地に密着しようとしている姿だという。

『ミス・ブラック・パワー』は数ある彫刻の中でもひときわ大きい。パワフルで自信に満ちた女性への讃歌である。

後藤良二の『交差する空間構造』は、かつて夕刊フジのCMに使われていた作品で、男女が組体操のように手足をつなげてポーズをしている像である。ああ、これかと懐かしく思う方もいるだろう。

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